遥かなる海
大航海時代オンライン、主に海賊とお料理、ユーザーイベントをこっそりと書き綴っているブログです。
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桃夏@Euros

Author:桃夏@Euros
Euros鯖、イングランド国籍です。
時折出没。
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ある航海者の手記
船着場からほど近い、月が良く映える高台にその酒場はあった。
市街の中心部からは離れているせいか、船乗りをのぞけば客足はよくはない。
「親父!ギンギンに冷えたエール頼むぜ!あと手羽先適当に出してくれ」
今日も今日とて、仕事を終えたばかりの若い船乗り達が一日の疲れを癒そうと駆けつけてきた。
「おう。ちょっと待ってくれよ。リリー、裏からエール一樽取ってきてくれ」
俺の仕事はそんな彼らに一時の安らぎを与える事だ。
――なんていってはいるが、ただのどこにでもいる酒場の親父だ。
「はーい」
「親父、聞いてくれよ。この前カルロータちゃんにエプロンドレス贈ったんだよ。したら名前覚えてくれたぜ!ヒャッホー」
「おめえとカルロータちゃんじゃ美女と野獣だろうが!あの子は俺にこそ相応しいんだ」
「何をぉ!てめえだって面からして野獣だろうが!」
忙しなく手を動かしながら船乗り達のやり取りをみると、好きな看板嬢の話題で盛り上がっている様子。
ふん。酒場の親父としては若い連中に気のきいたこと一つでもいってやらなくちゃな。
「その辺にしとけ。カルロータならあんたらの事がお気に入りみたいだぜ」
船乗り達は天に昇ったかのようにまくし立て始めた。
「うおおおお。俺、給金全部カルロータちゃんにつぎ込むぜ!」
「カルロータちゃんは俺んだって言ってるだろうが。お前はすっこんでろ」
どうやらやぶ蛇だったらしい。仕事の傍ら薄めにつくって置いた琥珀色の液体を喉に流し込む。
かぁっと焼け付くような爽快感はないが仕方が無い。今は仕事中だ。
俺が陸に上がってからもう十数年の月日が流れた。
時折海岸から届く潮の匂いに惹きつけられる事もあるが、今の俺には無縁の話だ。
「お父さん。料理上がったよ。」
リリーに肘で突かれてふと我に返った。
「・・・ああ、ありがとな。疲れたんなら休んできてもいいぞ」
「ホントっ?!じゃあお父さん用に特製ランチ作ってきちゃうね!」




書きかけ って、今から部隊戻ります(pq またしばしお別れ!
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海賊になりきれなかった海賊

「皆、グラスは手に持った?いっくよー。かんぱぁ~いッ!」
カチャンッ。
ヴェネチア産のステンドグラスが小気味の良い音を立てた。
「やほほー!お待たせしましたっ。こちらが今日のメインディッシュ、鴨のオレンジソース添えになりまーす♪」
小さな女の子が大きな料理皿に足をふら付かせながらも、笑顔で料理を運んできた。
「わわわ。きりこさん大丈夫?」
「このくらいへーきよー。いつもの事だし」
ダブリエに身を包んだツインテールの女の子。
彼女がここラスパルマスだけでなく、世界各地に支店を持つかなりあ亭の店長さんだ。
自分の背丈以上もある大鉈を背中に背負い、忙しそうに店内を駆け回る。
でもあの大鉈・・危なくないのかしら・・・。
「こいつはんめぇ。元気百倍でさぁ!」
「も・・・ももひゃんもたへなよ~(桃ちゃんももっと食べなよ~)」
料理が運ばれてくるや否や、すぐにむしゃぶりつく様に頬張っていく。マナーもあったもんじゃない。
「もう。そんなにガツガツしないのっ」
「だって船長。今日は肉っすよ肉!いつもの乾パンに安ビールじゃねぇんだぁ。あっしらもう感無量でさぁ」
「そ、そうだよ!このオレンジソースの濃厚さ。新鮮なアヒルをカリッと高温で焼き上げた食感。おいら幸せだよっ!」
涙を流しながら食べるゆぐと船員達。ご、、、ごめんなさい・・・。今度からもう少し良いご飯準備するね・・・。
私は心の中でそっと謝りました。




「あむあむ・・んぐっ、んぐっ。むしゃむしゃ」
「も、桃ちゃん・・・。もっと落ち着いて食べなよ~」
ゆぐが呆れ顔で見つめる。
「ゆぐももっとたひぇなくてひいの?(もっと食べなくていいの?)ぜんふたへちゃうぞぉ(全部食べちゃうよ?」
「まったく・・・マナーもあったもんじゃないんだから」
それはお互い様!こんな美味しいバームクーヘン滅多に食べれないんだからっ。
口の中に広がる優しい風味。イベリア原産の、粘り強い小麦を丹念に練りあげ作られた歯ごたえ。
隠し味に少しボルドーワインを垂らしたのかな。程よい酸味が食欲を駆り立てた。
「幸せかも~」
「ごめんね・・・おいら達も桃ちゃんにもっと良いお菓子準備するようにするね・・・」
隣でぼそっと呟くように何か言われてましたが、私の耳には入ってませんでした。




「ふぅ~、お腹一杯~」
「おいらも~」
普段満たされない食欲をかなりあ亭の料理で思う存分満喫する。
長旅の疲れもどこ吹く顔、疲労感も一気に飛び体中に元気が沸いてきた。
「やっぱりかなりあ亭は最高よねっ」
「うんうん!船の上でもこんなご飯食べれたらなぁ・・・」
「贅沢いわないの。きりこさん困っちゃうじゃない」
「はぁーい」
ゆぐはちょっとだけ残念そうに答えた。もう、正直なんだから。
「船長、そろそろ・・・」
「うん。仕事もしないとね」
気持ちを切り替える。楽しむときは大いに。引き締める時は素早く。海の上での定石だ。
「ねね、おにーさん。きりこさん呼んできて」
近くのボーイさんに声をかけると、数分後きりこさんがやってきた。
「やほほー。お待たせー。」
「相変わらず忙しそうね。お店も繁盛してるんだしある程度は任せちゃえばいいんじゃない?」
「んー。アタシはお客さんと喋りたくてこの商売やってるから。忙しいのも嬉しい悲鳴よ♪」
いくら繁盛しても原点を忘れないかあ。私も見習わなくちゃ。
「で、桃ちゃんがアタシを呼ぶって事は・・・仕事の話ね。いいわ、別室準備するから紅茶でも飲んでて」
「うん。セイロンティーにビスチョコ(カステラ)もお願いっ」
「も、桃ちゃん・・・仕事のお話するんじゃ・・・」
う・・・。
「あはは。いいよ準備するから。じゃあ別室で待っててー」
ドタドタと忙しなくきりこさんは厨房へと消えていった。
「じゃあおいら達もいこっか。皆は先に船に戻ってて。話はおいらと桃ちゃんで聞いてくる」
「了解でさぁ。船長、素晴らしい料理ありがとやんしたってきりこさんに伝えてくだせぇ」
「うん。勿論っ」
「それじゃ、あっしらは先にいってやす」
船員達も三々五々と船へ戻っていく。少しおぼつかない足取りだけど、明日にはまた海の男達になっているのだろう。
私とゆぐもつられる様に別室へ入った。






少々プロット変更中です。
併せてお願い事があります。劇中の登場人物は架空のものであり、DOLのキャラクターとは一切関係ありません。
キャラ名や考え方、行動等はDOLのお友達から頂いているものですが、取材はともかく小説の方については、本人へのお問い合わせはお控え下さいませ。
少々紛らわしい書き方してしまったようで、お問い合わせがありましたのでご連絡致します。
作者が今体調崩してまして、カキカキするスピードも落ちてるのですがこっそりカキカキしてますのでまったりお待ち下さると嬉しいです。



ブーゲンビリアに想いを乗せて

ジブラルタル海峡を通過し、バレアレス諸島沖に入る。
特に大きなアクシデントもなく航海は順調そのもの。
マストから見下ろす風景もいつもより大きく見えた。
「ふふ。もーすぐだっ。」
「桃ちゃん、やけに嬉しそうだね。」
ゆぐがひょいっと隣に腰掛ける。
「うんっ。もうすぐチュニスじゃない。久しぶりにあの子に会えるもの。」
「そっかぁ。そうだね。チュニスっていえばリリーだっけ。 桃ちゃんいっつも言ってる子。」
ゆぐはポンと手を叩くとティレニア海へ向き直った。
「確かおいらと出会う前の話なんだよね。あの頃は桃ちゃんも若かったんだろうなあ・・・。」
「じぃぃ。うら若き乙女つかまえて何言ってんの!」
「ひぃぃ~」
バシっと背中を叩くとゆぐは一目散にマストを降りていった。
一人きりになった私はもう一度チュニスを思い浮かべる。
あれから三年かあ。リリー元気にしてるかな。



ジェノバで依頼を受けた私は一路セビリアへと向かう。
途中嵐に逢い、まだ経験の浅かったため航路を見失っていた。
「船長、食料があと三日分しか持ちやせんぜ。至急近くの港に寄港してくだせぇ。」
「あっ、うん・・・。でもここどこだろう・・・。」
船員達が呆れる様な目線で私を見つめる。だってぇ・・。
「しっかりしてくれやせぇ。船長の四文儀をあっしらに渡してもらえやすか?」
淀みのない手付きで四文儀を操る熟練船員。あの人の船から指導役で着てくれた人達だ。
「         ですぜ。こっからだと南西にチュニスって港町がありやす」
「わかりました。ではそこに寄港しましょう。」
気を取り直して背筋を伸ばす。ちょっとでも威厳のあるとこを見せないと・・・。
「そうそう、あんたがこの船の大黒柱だ。どしっと構えてりゃええんです。あとはあっしらがサポートしまさあ。」
そう言うと船員達はにっこりと笑った。
今はまだ未熟でもいつかきっとこの人達に相応しい船長になってみせる。



 


数日後、商用キャラベル「アマルシア」がチュニスに寄港した。
「よし。船長、あっしらは船でまってやす。食料と水の補給をお願いしまさあ。」
「了解っ。すぐに戻るね。」
私は甲板を降りるとすぐに出航所へと駆け出した。
「しかし、、旦那ぁ、ここって確かオスマンの港じゃ。船長一人で大丈夫でしょうか?」
「船長には酷だが俺らが着いていっても何にもならんさ。ここで経験積んでもらわないとな。」
「でも船長に何かあったら・・・。」
中堅船員は気遣うように熟練船員を見た。
「そん時はそん時だ。ま、そうならねえように手は打ってある。もっとうちらの船長信じようぜ。」
「旦那がそう言うんなら仕方ねえ。」
何か嫌な予感するよなあ。何も無ければいいんだけど。


 



「入港管理局はこっちよね・・・何か私の知る場所とは違うけど・・。」
辺りにはターバンやイェレク。女性であればチャドリを着た人達が並んでいる。
水や食料、生活必需品は勿論、持ち込んだ交易品も全て入港管理局でチェックされる。
街にとって有害な物を持ち込ませないためのものだ。
ここで許可を貰えなければ補給もままならない。ま、くよくよしててもしょうがないよね。
「おじさん、あの船に水と食料を補給したいんだけど、許可下さい。」
「いらっしゃい。って、あんた・・・西洋人か?」
管理官が私の服装をジロジロと見つめた。確かに浮いてるとは思うけど・・・。
隠すのも嫌だし。私は素直に答えた。
「はい。ジェノバからきたの。途中で嵐に遭っちゃって補給させてほしいんだけど。」
「そいつは大変だったなあ。でもな、お嬢ちゃん。ここはオスマントルコの管轄下だ。西洋人の入港は認められないな。」
・・・オスマンの港?!確かに言われて見れば見た事のない船がいっぱい並んでる。
でも私がここで食い下がるわけにはいかない。皆がお腹空かせて待ってるもの。
「そ、そこを何とかお願いしますっ!食べる物も残り少なくて・・・。」
「お嬢ちゃん、気持ちはわからんでもないが、あんたそんな格好で街中出てみろ。すぐにオスマンの兵隊が来て連れてかれちまうぞ。」
管理官のおじさんはダメだダメだと手を振った。
「ほらほら、帰った帰った。入港したいんならそれなりの格好してきな。」
そんなあ・・・。海の上でも役立たず。そして補給すらまともにできない船長。泣きたくなってくる。
その時だった。
「おねーちゃん、こっちこっち。」
年は13歳くらいだろうか。真っ白のガンドゥーラに身を包んだ可愛らしい女の子だった。
女の子に手を引かれて駐留している船の片隅に着くと、
「もう、ダメじゃないっ。」
途端に女の子がまくしたてた。
「いい、おねーちゃん。ここは西洋人の街じゃないの。おねーちゃんみたいな人がそんな格好でうろついてたら入管にいても捕まっちゃうんだからねっ。」
「う。うん。」
「でもどうしても入りたいとか?」
「うん!船の皆にご飯持って行かなくちゃ・・・。」
「ふむふむっ。それならあたしに良い案があるよっ。」
女の子は人差し指をグイっと上に突き出しこう言った。
「あたしの依頼聞いてくれたら、代わりにうちのお母さんのお洋服貸してあげるっ。」
なるほどっ。そうきたかぁ。
「うん。いいけどその前に・・・・。」
「その前に?」
「私の名前は桃夏。あなたの名前は?」
「あたしはリリー。よろしくね、桃おねーちゃんっ。」
それが小さな依頼人、リリーとの出会いでした。


 



20分後、リリーのお母さんのチャドリとチャドル、アラビアンシューズを借り倉庫裏でこっそりと着替えた。
「うんうん、サイズは良い感じだね。似合う似合う。」
チャドルで顔を隠す。イスラムの教えなのかな?ちょっと窮屈だけど仕方ないっか。
「でもリリーのお母さん用のなんでしょ。勝手に持ち出して叱られないの?」
「んー、あたしんちのお母さん二年前に流行病で倒れちゃってね。もういないんだ・・。」
「・・・そうだったの。ごめんね、変な事聞いて。」
「んーんー。いいよっ。もう昔の事だもの。」
そう言ってリリーはニッコリと笑った。
どうしてだろう。どうしてこの子はこんなに強いのかな。私だったらそんな風には笑えないよ・・・。
「ねね、リリーは私にどうしてここまでしてくれるの?」
いくら頼みごとがあるとはいえ、大切な人の形見を貸してまでしたい頼みごとって何だろう。
「桃おねえちゃんはいつから海に出てるの?」
リリーは途端に真剣な顔つきになって聞いてきた。
「ついこないだ。私が18の誕生日を迎えたときからかな。まだ三ヶ月目で皆に迷惑かけてばっかりで・・。」
「やっぱりそっかぁ。まだ駆け出しさんなのね。」
「うん・・・。」
何か年齢と立場が逆みたい。でも私の目にはリリーが大きく見えたんです。
「あたしんちね、そんな裕福じゃなかったからさ。お母さん倒れてから私が代わりに店番する事になって。お父さん、お母さんがいなくなってから半年に一回巡礼船で南の大きなモスクに行くようになったてこともあるんだけど。」
この子は二年前からずっと働いてきたんだ・・・。
「凄いんだね、リリーって。」
「あははっ。そんな事ないない。あたしと桃おねーちゃんって似てるなあって思ったの。」
「えっ?どうして?」
「さっきの会話聞いてたよっ。桃おねーちゃんって自分に自信ないでしょ?」
う・・・。確かにまだ経験の浅い私には海千山千の船乗り達に自信をもって命令なんて出来ないよ・・・。
「あ~、その顔、さっきと一緒だぁ。おねーちゃん、駆け出しだからとか経験浅いとか考えてるんでしょっ。」
リリーは人差し指を私の顔に突きつけ、そのまま胸の位置まで持ってくる。
「いい?経験や経歴って確かに大事だけど、それよりもっと大事なものがあるの。」
「う、うん。」
「お母さん亡くして毎日泣きながら店番してた。その時ね、桃おねーちゃんみたいな西洋人が入港してきたの。当時は今よりもっとオスマンの取締りが厳しくて、入管どころか港前で迎撃する構えすらみせたって聞いた。でもその人はティレニア海で海賊に襲われてたオスマンの商船を曳航しててね。」
「うん。」
「特例として港への立ち入りと補給を認められたんだけど、その時うちの店に来たんだ。すっごいキレイでカッコ良い人だったよっ!」
リリーが目を輝かせてなおも続ける。
「でも当時のあたしって塞ぎ込んじゃってたからさ。その日も慣れない仕事と悲しみでポカしちゃったの。あたしはまた怒られるって思って萎縮しちゃってたんだけど、その人怒るどころか頭をなでてくれてね。気付いたら今まで辛かった事とかその人に全部打ち明けちゃってたみたい。」
てへ、と舌を出す。
リリー、生きるって事はさ、誰にとっても難しい事だよ。失敗なんかしたっていい。明日の事なんか考えないで、今を一生懸命に生きなさい。
「こう言ってくれたんだ。凄い衝撃だった。今を一生懸命に。お母さんもそうやって一生懸命に日々を送ってたんだなってそう思ったの。そしたらさ、何か吹っ切れちゃった。だからおねーちゃんも・・・。」
自信もってやりなよっ。と胸を軽く叩かれる。
「結果はあとからついてくるんだからねっ!」
今を一生懸命に生きる・・・。私よりずっと小さな子がこんなにも頑張ってる。
「それでね、桃おねーちゃんって前のあたしに似てたってのもあるんだけど、その西洋人の匂いもするから・・・。」
あたしの憧れの人なんだ~。もう一度会いたい。そんな想いを込めてリリーは空を見上げた。
「そう、そうだったの・・・。」
「うんっ。だから桃おねーちゃんも胸張って頑張るのだっ。」
「うん・・・うんっ!私、やってみるっ。」
私に出来る事は少ないけど、私にしか出来ない事だってあるはずだ。
足手まといだっていい。役立たずでも構わない。自分に自信をもってやっていこう。
私の気持ちが伝わったのか、リリーは満足そうに頷くとニッコリと笑ったのでした。
「あ、そうそう。でね、依頼の事なんだけど・・・。」


 


 



「ごめんごめん、お待たせっ。」
寄港してから既に数時間。日も大分高くなってきた頃、私はリリーの協力を得て何とか補給の許可を頂いてきました。
「おかえりやす。船長、大変だったんじゃ?」
中堅船員が心配そうに私を見つめた。ふふ、もう大丈夫だよっ。
「ううん、私の仕事だから。それより日が暮れる前に補給終わらせて出航するよ。皆急いでっ。」
ここはオスマンの港だ。変装していたとはいえどこかで感づかれてたら不味い事になる。
「あいさー。船長は指示を。あとはあっしらがやりやすぜ!。」
「うん、頼りにしてます。さ、取り掛かるわよ!」
今を一生懸命に。悩むより行動する。小さな先生に教わった事だ。
これから先どんな苦難があっても乗り越えられる。そんな気がした。



「どうやら一皮剥けたようだな。」
「旦那の言ってた通りだ。船長、人が変わったみてぇだ。旦那、どうやったんで?」
熟練船員は困ったように頭をかくと、
「いやあ、俺は何もしてねえよ。どうやらもっと良い先生に先越されちまったみたいだけどな。」
豪快に笑った。もう大丈夫だ。船長は良い船乗りになれそうだ。そう、あっしらのお頭のような偉大な船乗りに。
「そうなんですかあ。ま、うちらとすりゃ船長が成長してくれるのは良い事にちげねぇや。」
中堅船員も釣られて笑う。船長、困った時はあっしらがいくらでもサポートしやすぜ。



以心伝心。そんな想いを風にのせ、夕刻前、商用キャラベル「アマルシア」はチュニスを発っていったのです。






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貿易風に乗ってどこまでも・・・

「わぁ~、凄い。グングン加速してくよ」
「うんうん。これが有名な貿易風だね。大航海時代に因んだ名前の一つかも」
「この海路を沢山の帆船が辿っていったんだね・・・。何か感慨深いかもっ」
「て、桃ちゃん。そんな事言ってたらどこの時代の人かわかんなくなるよ」
「てへ。」
見張り台から覘く雄大な海は、長期間の航海による疲れも吹き飛ばすほど素晴らしいものでした。
「この先に黄金卿が待っているんだねっ。」
「うんうん。カリブ海のめのう。中南米の金と銀。メキシコ湾のオパール。コロンビアのエメラルド。そして南米ならではの特産物。」
ゆぐがどこか惚けるような口調でつぶやく。
「でもゆぐが目指してるのは錬金術だもんね~」
「うっ、、、うん。」
失われた秘儀、錬金術。そんなまゆつばなものでさえも南米にはあるという。
「ただの噂かもしれないけどね。でも夢が広がるよ」
この海の向こうに西洋人が夢に描く新天地がある。手を伸ばせばそこには。
一隻の船に自分の全てを賭けて挑戦し続けた大航海時代。
インドでもジパングでもない。貿易風に乗って新大陸へと船を走らせた船乗り達の姿が目に浮かぶようでした。
「ふふ。よしっ、目標南米リオデジャネイロ! ゆぐ、舵はお願いね。」
「了解!」
ゆぐの掛け声と共に順風が吹く。メインマストに貿易風を受けて、桃夏とゆぐは南米へと向かったのでした。




こちらを嘲笑うかのように砲弾が飛んできた。
「サブマスト炎上! 提督・・・このままじゃ・・・」
数の差は四対一。しかもこちらは商船だ。
ゆっくりと包囲網をかけながらバッカニアが肉薄してくる。
「まさかあのタイミングで奇襲を受けるなんてね。黄金郷への道は甘くなかったかあ・・・」
「すぐに消化砂を撒け! 手の空いてるヤツは予備帆を出して来い。ここが正念場だ、諦めるなっ!」
ゆぐが船員を鼓舞する。一時の混乱から立ち直るも尚も四隻の大型ガレオンが接近する。
「桃ちゃん、最悪おいらがこの船で特攻するからその間に小型艇で逃げて・・」
「何言ってるのッ!あなたや船員を置いて逃げる船長がどこにいるというの?いいわ、舵は私がとります。ゆぐは船員の指揮を」
敵艦隊との距離350。
「砲手、弾道学で距離を正確に割り出して。ゆぐ、砲弾は残りいくつ?」
「残り10樽。そんなにはもたないよ」
「そう、なら半分を機雷に使います。準備をお願い。その間にここから風下に切り上げるわよっ」
状況は常に最悪。でも軍人ならそれが当たり前だ。視野を広く持て。
もしこの場にあの人がいればそんな事を言いそうな気がした。
「船長、この風で無理な切り上がりをしたら転覆しちまいますぜ!」
「わかってるわよ。でもやるしかないの。皆何かに掴まっていなさい。」
矢継ぎ早に指示を出すと私は舵を握った。ここからが勝負。商用クリッパーは大型の帆船だ。切り返しに失敗したら転覆は免れない。
ドンドンドンドンッ!
「メインマストに被弾っ。帆が破られました・・。」
敵艦からの砲撃は続く。懸命な回避により直撃は避けているものの時間の問題だろう。
「丁度いいわ 帆を下ろす手間が省けたってものよ。」
精一杯の強がり。船速が殺されたのは痛い。敵艦隊との距離は250を切っていた。
「桃ちゃん!機雷の準備整ったよ。いつでもいける!」
「よしっ。なるべく広範囲にばら撒いて。相手は四隻。機雷があるとわかれば最低限の足止めにはなるわ。」
どうせこの場には私達以外に敵しかいない。ならやれるだけの事をやるしかないっ。
ズドーン。
身体に響く重低音。
「やった、やりました!先頭の一隻が機雷に被弾ッ!敵艦隊速度を落としています。」
「今よっ。切り上げます!」
チャンスは今しかない。私は焦る気持ちを懸命に抑え付けながら舵を取った。
お願い・・・。祈りを込めて舵を右に切る。普段の私の腕では五分五分といった所か。
でも今は失敗は許されない。皆の命がかかっているんだからッ。
船は大きく半円を描きながらバッカニア艦隊を目の前に旋回。何とか半包囲から脱出する。
敵艦隊との距離300。
「ふぅ。お見事。」
ゆぐが労いの言葉をかけてくれる。でもここで気を抜くわけにはいかない。
「まだよ。戦闘海域から抜けるまでは安心できないわ。」
自分に言い聞かせるように私はつぶやいた。
その時だった。
シュルルルル・・・。
先ほどの砲撃とはうって変わって間の伸びた音。
でも私にはそれが死神の笛のように聞こえました。
ガシッ。
急激に落ちてゆく船速。一体何が!?
「せ、船長・・・鎖弾です。舵をやられました・・・もうダメだぁ。」
「諦めないで!ゆぐ、すぐに修理を。急いでっ。」
「了解!やってみるよ。」
心なしかゆぐの表情も青ざめていた。多分私はもっとだろう。だけど私が諦めるわけにはいかない。
そんなことをしたらあの人に失望されてしまうだろう。そんなの嫌だっ。
敵艦隊との距離200。
一度減速してしまった船がそう簡単に船速を取り戻す事はできない。無情にも敵艦隊は距離を詰めてくる。
相手は悪名高きバッカニア。捕まったら最後。生きては戻れないだろう。
皆もそれをわかっているらしく中には神に祈りをささげる者までいる。
「こうなってしまった以上、白兵は免れないわ。皆、こんな事につき合わせちゃってごめんね。」
心からの懺悔。どうしてこうなってしまったのだろうか。せめてもう少し敵を発見するのが早ければ・・・。
「悔やんでても仕方ないよ。桃ちゃんの背中はおいらが守るさ。」
「船長、あっしらも覚悟は決めやした。船長に預けた命だ!野郎どもっ、気合入れてくぜ!」
「うん・・・うんっ。貴方達だけは絶対何とかしてみせるっ!」
これから先どんな運命が待っていようとも、私は乗り越えてみせる。こんな仲間達に巡り合えたのだから。
敵艦隊との距離150。今や接舷距離に達しようとしていた。




 



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