遥かなる海
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ご冥福を
ご存知の方も多いと思います。先ほど東武東上線で女性を救出しようとするも、電車にはねられてしまった警察官が亡くなったそうです。
物凄く悲しい。ご家族や同僚はもっともっと悲しい想いをしてるだろうと思うとそれだけで気が滅入ってしまいそうです。
女性の行動うんぬんはともかく、この方は危険をかえりみず自分の命をかけて女性を助け出した。
何と言うか、故人を美化するつもりはないけど本当に凄い、警察官らしい警察官だったと思います。



昔の話になりますが、私も同僚と一緒に警察学校で拝命を終えて一週間後くらいに、教官、助教に慰霊碑に連れていかれました。
拝命後人が変わったように教官に怒鳴りつけられたり、凄まじい訓練を課せられて、私達のクラスでは勿論、同期のほとんどが鬼のような教官助教を怖がってたり、憎んでたりしたと思います。
そんなある日の事でした。


「今日はお前達を特別な場所に連れてく。絶対に粗相の無いようにしろ」
普段は睨み付けるような視線を投げつけてくる教官もこの日は違っていました。どこか寂しげな表情で悲しい目をしていたと思います。
連れてこられた先は県警の慰霊碑。
黙祷と敬礼(徒手ではなく脱帽)をし、大会議室へと向かいました。
そこには職務を遂行し、県民の為に命を落とした警察官の遺影が飾られていました。
教官は私達の目を一人一人しっかりと見ながら「いいか、お前ら。殉職は警察官最大の不祥事だ。何したっていい。絶対に死ぬな。」
と言いました。
「お前らがもし一人でも殉職したら、俺は大泣きするだろう。物凄く後悔するだろう。何でもっと勉強させておかなかったか。何でもっと走りこませておかなかったか。何でもっと武道を叩き込まなかったのか」
「いいか、お前ら。命ってのは平等だ。無くしたら皆悲しむ。何よりもまず俺が悲しむ。もし命の危険があってそれでも市民を守らねばならない時、そんな時にどうにかできるだけの力をお前らに身に付けてもらいたい」



恥ずかしながら私を含め同期の皆は涙ぐみながら話に聞き入ってました。父親のような優しさをもって自分達を鍛える為に鬼になってるのか。
そうわかった時はこれからどんな過酷な訓練でも耐えれる。そんな大きな力を貰った気がしたものです。
その後、少し経って教官の二つ上の先輩が殉職されたと聞かされました。


今回殉職された警察官のように、同僚や地域の人からも慕われた素晴らしい人だったと聞いています。
でも、教官も葬儀には駆けつけたものの、遺された奥さんや子供が泣きじゃくる姿をとても直視できなかった・・・。そう話してくれました。
「遺された人間がどんなに悲しむか。人を守る警察官なら一番よく知ってるはずなんだよ!」と声を荒げる教官。
この人が教官で良かった。私は今でもそう思っています。



警察官という職務を遂行する以上、死傷する方が出るのは避けられないのかもしれません。
でも、それでも、生きてほしかった。私の若さからくる甘さかもしれないけど、そう思わずにはいられません。
救出された女性、自殺願望があったと報道されていますしその内容がどういったものかは知らないけど、どうか生きてほしいです。
青少年の自殺が相次ぐ中の今回の事案。社会的な反響も大きいだろうけど、それよりまず命をとして職務に殉じた警察官のご冥福をお祈りいたします。


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